<解説>C15-002 子宮膣部擦過、20代、女性
診断 : LSIL(low-grade squamous intraepithelial lesion)with koilocytosis
LSIL(low-grade squamous intraepithelial lesion)(軽度扁平上皮内病変)は、HPV(human papilloma virus)の感染によるものである。
HPVは100以上の型があり、ハイリスク型HPVとローリスク型HPVに分類される。   
成人女性の80%はハイリスク型HPVに一度は感染するが、感染しても90%が自然消滅し、10%が持続感染する。そのうちの10%が5年以上を経てLSIL→HSIL→子宮頸癌へ進展する。
LSILの所見は次の通りである。
1. 孤立性あるいはシート状集塊で出現する
2. 主に表層、中層型扁平上皮細胞に核異型(核異常)がみられる
3. 核は正常中層型扁平上皮細胞の3倍以上
4. しばしば2核や多核細胞がみられる
5. 核クロマチンは均一だが、顆粒状に濃染するか、スマッジ状核(泥状・無構造濃染核)を呈することもある
6. 核小体は通常みられない
7. 核周囲明庭を有するコイロサイトーシス(koilocytosis)が高頻度でみられる
8. 異型錯角化細胞が出現することもある

また、核異型がみられずコイロサイトーシスと断定できない場合はLSILとみなすべきではなくASC-USと判定する、とされている。

HPV感染細胞に特徴的なコイロサイトーシスは炎症でみられる核周囲ハロー(halo)と鑑別が必要で、核周囲ハローは同心円状で狭いのに対し、コイロサイトーシスは明るい部分の輪郭が不整形で広く、辺縁の細胞質が厚いのが特徴である。