<解説>H15-003 子宮体部、広汎子宮全摘出組織 50代、女性
診断 : MELF(microcystic, elongated, and fragmented)型浸潤を伴う低異型度類内膜癌 (Low-grade endometrial endometrioid carcinoma with MELF pattern invasion)
 子宮体部類内膜癌は侵入型、圧排型(膨張型)、腺筋症類似型、悪性腺腫型浸潤のほか、MELF(microcystic, elongated, and fragmented)とよばれる特徴的な筋層浸潤パターンを示すことがある。この所見は2003年にMurrayらによって初めて記載されたもので、しばしば線維粘液性の間質反応を伴う。筋層浸潤を伴う類内膜癌の約12-20%の症例で認められ、頻度は低くないが、必ずしも広く知られていない。高率にリンパ管侵襲やリンパ節転移がみられ、顕微鏡的サイズの微小転移を伴うことも少なくない。
組織学的には浸潤先進部において腫瘍腺管が3 つの特徴的な変化、すなわち微小嚢胞状(microcystic)変化、延長した(elongated)裂隙様の空隙の形成およびその断片化(fragmented)を示す。併存する類内膜癌は低異型度で、粘液化生を示すことが多い。MELF型浸潤は筋層浸潤の先進部の一部でしかみられず、微小転移や脈管内の腫瘍塞栓を構成する腫瘍細胞が組織球に類似した形態を示すことがあるため、弱拡大で容易に見落とされる可能性があるため、注意を要する。
最近の報告ではMELF型浸潤が単変量解析では進行期(Stage)の予測因子になり得ることが示されているが、長期的予後との関連については依然として明らかではない。また、この特徴的なパターンの浸潤が上皮間葉転換 Epithelial-mesenchymal transitionを反映する現象であることが示唆されている。