<解説>H20-002 鼻腔腫瘍 30 代、男性

HPV ISH


p16


p63


Calponin

診断 : HPV-related multiphenotypic sinonasal carcinoma with adenoid cystic carcinoma-like features
 本腫瘍は組織学的には外向性および内向性発育を示しており、主体はN/C比の高い異型細胞の充実性シート状増殖で構成されていたが、一部では扁平上皮分化がうかがわれたほか、管腔形成、円柱腫パターンを示す腺様嚢胞癌類似の領域が認められた。腫瘍細胞の核は粗造なクロマチン構造と核小体を示す中型ないし大型の核を有しており、核分裂が多数認められた。
 組織像からは当初低分化型扁平上皮癌であると考えられたが、腺様嚢胞癌類似の領域が認められなど多彩な分化がみられたことから、HPV in situ hybridization を施行したところシグナルが確認されたことから、上記診断が確定した。鑑別診断として腺様嚢胞癌、NUT carcinoma、SMARCB1(INI1)欠損癌、未分化癌、小細胞神経内分泌癌などが挙げられる。扁平分化と形態的あるいは免疫組織化学的多彩性が診断の鍵となる。鼻腔で腺様嚢胞癌の形態を示す腫瘍の遭遇した場合は本腫瘍の可能性を常に考慮する必要がある。