<解説>C20-0001 胃粘膜下腫瘍(EUS-FNA) 、60代、男性
診断 : 診断:Gastrointestinal stroma tumor(GIST), epithelioid type(類上皮型)
GIST は消化管に発生する間葉系腫瘍の 70% 程度を占める。好発年齢は 60 代で、男女差はないと考えられている。発生部位は胃が半数以上を占めるが、稀に腹腔内に発生する(消化管外 GIST)。形態学的に spindle type(紡錘形型)が 70% を占めるが、腫瘍細胞が比較的豊富な細胞質をしているために上皮様の形態を示すことがある。このような腫瘍細胞のみで構成される epithelioid type(類上皮型)は 20% 、紡錘形の腫瘍細胞と上皮様の腫瘍細胞が混合する mixed type (混合型)は 10% を占める。類上皮型の場合は腺癌や腺腫、神経内分泌腫瘍(カルチノイド)などとの鑑別を要するため、診断確定にためには免疫組織化学的検討が必要となる。

穿刺吸引物の細胞診では清明な背景に上皮様集塊が多数観察され、集塊の辺縁不明瞭で集塊内に血管の介在が認められた。腫瘍細胞の境界は不明瞭で、細胞質は網状で豊富であった。核は類円形で、クロマチン構造は細顆粒状であった。核内封入体が散見されたが、分裂像はみられなかった。腺癌や腺腫、神経内分泌腫瘍などとの鑑別、判定のポイント、(1)血管介在を伴う辺縁不明瞭な集塊、(2)細胞境界不明瞭で淡染性、(3)類円形核に細顆粒状クロマチン、(4)核内封入体、などが挙げられる。なお、GIST における核内封入体は稀で、類上皮型でのみ認められるとする報告がある一方で、細胞形態とは無関係で、悪性あるいは転移性 GIST で認められる頻度が高いという報告がある(1, 2)

1 Wieczorek TJ, Faquin WC, Rubin BP, Cibas ES. Cytologic diagnosis of gastrointestinal stromal tumor with emphasis of the differential diagnosis with leiomyosarcoma. Cancer. 2001;93:276–87
2 Vander Noot MR, 3rd, Eloubeidi MA, Chen VK, Eltoum I, Jhala D, Jhala N, et al. Diagnosis of gastrointestinal tract lesions by endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration biopsy