<解説>H16-005 胃生検 11歳、男児 糖尿病で加療中
診断 : Collagenous gastritis
 膠原線維性胃炎 collagenous gastritis は胃の粘膜固有層の表層直下で膠原線維が集積する状態で、その厚さが 10 μm をこえるものをいう。形態的には膠原線維性大腸炎 collagenous colitis と類似しており、一つの疾患の異なる表現型であるとする見解があるが、膠原線維性大腸炎が中高年で好発し、慢性下痢が主症状であるのに対して、膠原線維性胃炎の中には小児に好発し、腹痛や鉄欠乏性貧血、消化不良を伴う例があり、特異な病態であると考えられている。成人型は膠原線維性大腸炎に合併し、その原因には不明であるが自己免疫的機序などが想定されている。これに対して小児型は好発年齢が10歳前後で、セリアック病などとの合併例が報告されている。
 組織学的には固有腺の萎縮の他、粘膜固有層でリンパ球・形質細胞浸潤が認められる他、表層上皮内においてもリンパ球が増加することがある(26個以上/上皮細胞100個)。好酸球が多数浸潤する例も知られている。