<解説>H15-001 仙骨、針生検 30代、男性
診断 : 良性脊索細胞腫(Benign notochordal cell tumor)
 良性脊索細胞腫Benign notochodal cell tumor(BNCT)は脊索を起源とする良性腫瘍で、脊椎内に発生する。病理解剖や脊椎切除組織中で偶然見つかることがあるほか、画像で描出されたり、視認可能な腫瘤を形成し、圧迫症状が出現する例もある。患者の年齢は幅広く、13歳の男児の例が報告されている。男女差はない。
 組織学的には担空胞細胞、あるいは脂肪細胞に類似した淡明な細胞質を有する細胞の充実性シート状増殖で構成される。免疫組織化学的には腫瘍細胞はS100蛋白、EMA、低分子量サイトケラチンが陽性である。脊索腫との鑑別点として、(1)腫瘍径が小さい(4 cm以下)、(2)周囲境界が明瞭、(3)軟部組織への進展がみられない、(4)分葉状構造がみられない、(5)骨梁間でシート状に増殖する、(6)細胞異型、核分裂、壊死が認められない、(7)細胞間で粘液基質の沈着を伴わない、(8)被膜形成がない、などが挙げられる。